まるで素人な…
昨日、無事ワールド・プレミア(こう呼んでいるのは自分だけだったりする)が終了した。昨日は一日 中雨で、朝11時からと早い時間だったし、しかもロンドンの地下鉄が週末の工事で何路線も閉鎖され て、当日になってこれないと言う人が何人かいたが、それでも盛況だった。(ロンドンは、ほぼ毎週末、終日地下鉄のどこかしらの路線が工事中で、不便極まりないのである。)
私とポールは、上映の1時間前に会場に行って、映写技術師と簡単に打ち合わせをした。私は当日の流 れを紙に書いて、彼女に渡した。11時から、まず5分間のスライドショー(音楽付き。画面の比率は 4:3)、それが終わったら、スポットライトを中央に照らして、私の挨拶(約2分。これも事前に立 ち位置とスポットライトの種類を決めた)、それが終了したら映画が始まる(映画はワイドスクリーン )。 私が借りた時間は1時までだから、映画の時間から逆算すると、どんなに人が入っていなくても、11 時10分過ぎには始めないと、時間通りに撤収することが出来ない。それを彼女に伝えたら、「そんな に厳密じゃなくていいよ」といわれたので、ちょっと安心。
11時を過ぎて、ブライアンを始めとするパーラメント・スクエアのメンバーと、そのほかに私やポー ルが招待人たちが続々と会場に現れた。11時10分になったので、予定より10分押しで(既に!) スライドショーを始める。スライドショーの合間にも、慌てて飛び込んでくる人が5名ほど。 スライドショーが終了し、スポットライトが着いたので、私は挨拶のため前に進み出た。あいさつ文は 、数日前に書いて、プリントアウトしたものを読み上げることにした。私はこういう挨拶を映画祭や何 かで、何度かしたことがあり、そりゃ少しは緊張するが、結局英語でも日本語でも、最終的には何とか やりぬける、と言うタイプだ。500人ぐらいの観客の前でも大丈夫だった。
しかし、今回の場合、ほ とんど全員が知っている人にもかかわらず、数十人にもかかわらず、紙を持つ手が、のっけからぶるぶ るではないか! 私はまず、来てくれたことに感謝し、それから、自分の自己紹介とパーラメント・スクエアとの出会い を説明した。それから、何かのために立ち上がる日本人たちを勇気付けたいと言うメッセージを映画に こめた、とか、私がどうこの映画を表現したいと思って作ったかを説明。みんなの感想を聞きたいから 、映画の終了後には階下のカフェで集まりましょう、と。そして、最後には、この映画を作ることに協 力してくれた人、登場してくれた人たちへの感謝と、とんでもなく支えてくれたポールへの感謝を…と ころが、このポールの名前が出てきたとたん、自分はなんと、こともあろうにみんなの前で泣き出して しまったのである! 原稿を家で書いていたときには特にそんなことはなかったのに、読み始めたら突 然、朝4時ごろまでかけて英語字幕の書き起こしなどをしてくれたことなどに頭が占領されて…。あと は、もうぼろぼろである。 っていうか、これじゃあ、全然プロフェッショナルじゃない!!!! 今後のスピーチでは、危険なの で、ポールに対する謝辞は入れないことにする。
何とか最後まで文章を読み上げ、スポットライトは消え、映画が始まった。映像については、この映画 館のは高解像度プロジェクターなので、大画面でもかなり綺麗。でも、DVDプレイヤー自体は、結構 古いらしく、チャプター間の移動に+3秒ほど時間がかかり、かなり間が開いてしまう印象を受けた。
チャプター間の移動時間は、DVDプレイヤーによってかなり差があるので、現在は上映用に関しては チャプターを分けず、ひとつの連なったチャプターに変更することにした。(となると、問題は字幕で ある。現在は字幕をチャプターごとにタイムコードを作って計算しているのだが、それが出来なくなる 。かといって、また字幕のタイムコードをイチから調整するのは、絶対やりたくないので、現在足し算 が出来るプログラムソフトを開発中である。つまり、チャプター1が5分30秒27フレームで終わる としたら、チャプター2の字幕タイムコードには、全て5分30秒27フレームを足した状態にする、 ということ)
それ以外は特に問題ないように見えたが、後半になって、突如映像と音声が10分の1秒ほどずれてい ることが発覚! 一度気になりだすと、気になって仕方がない。チャプター8で、それがあり、でも9 、10は大丈夫で11が少し、12が少し発生。自宅でPC、TVで確認したときは全く問題なかった のに、これは大画面ゆえに発覚したのか? それとも、こういうプロフェッショナルな劇場では、音声 と映像が別の系統から出力されるため、このようなずれが生じるのか??? 全く不明である。
上映後、私は映写師にこのことを聞いてみた。彼女によると、DVD素材なので、音声と映像は全く同 一のところから出ている。プロジェクターはそれを投影するだけ。だから、別の系統から出力するため に生じるずれではない。映像ソフトは何を使っているかと聞かれた。私はプレミアと答えたら、ファイ ナルカットが一番いいの。それで、クイックタイムにすればこういうことは起きないはず・・・だって 。でも、私はプレミアなんだからどうしようもない。今更全ての編集をファイナルカットにするのは無 理だ。(っていうか、本当にプレミアはプロユースじゃないよなあってつくづく思う。長編映画に必要 な、諸々の技術が装備されていないのである。これからもし、プレミア、ファイナルカットどちらにす るか悩む人には、例えマックに不慣れでもファイナルカットにしたほうが後々いいよと言いたい!)
しかし、それだけが原因とは思えない。それで彼女とあれこれ話していた結果、もしかしてNTSCと PALの違いでは? ということも思い当たった。日本、アメリカとヨーロッパ諸国では、カラーの規格が違う。日米はNTSC(29フレーム)で、ヨーロッパはPAL(25フレームとフレーム数は少 ないが、その分1フレームごとの解像度は高いそうだ)となっている。私は当初、まず日本で上映する ために、と考えていたので、最初の編集時の設定をNTSCとした。そして、NTSCバージョンを完 成させたあとに、同じ素材を使って、PAL用のMPEGファイル(DVD用のデータ)を書き出した 。
選択肢として選べるのだから、問題なくコンバートされるはず、と思っていたが、PALバージョン では、トランジション(場面が切り替わるときなどの黒画面)の粒子が粗く(これはPALがフレーム数が 少ないために粗くなるのだと思われる。パラパラ漫画とかでも、枚数が多いほどキャラクターの動きが 滑らかになるのと同じ原理)、そしてもしかして、フレーム数が少なくなるせいで、音声が数フレーム 分ずれてしまうのではないか? とのことだった。うーーーん、これはもしかしたらありえるかも。
彼 女が勧めた解決策は、まずNTSCでDVDをつくり、それをカラー・コンバーターのようなソフトで 、PALに変更する、というもの。そんなソフト、聞いたことも使ったこともないが、必要かもしれない。 でも、私は家で観ているときにこのアウトシンクに気がつかなかったのだから、まず家でもう一度観る ことにした。家のテレビでじっくり目を凝らしてみても、アウトシンクは発生していない模様。いくら 小さい画面とはいえ、ちゃんと確認できた。なぜだーーーー!
ポール曰く、もしかしたら、音声の圧縮方法かもしれない、とのこと。DVDにデータを収めるため、 映像も音声も圧縮することが必要だ。その圧縮方法にはいくつか種類があるらしく、DVDプレイヤー によっては、圧縮されていた音声データの解凍がうまく行かずに、ずれてしまったりすることがあるら しい。(それを防止するための、オールラウンドな圧縮方法もあるそうなのだが、そうすると今度は音 声データが大きくなりすぎて収まらなくなってしまう可能性もあるとのこと。特に長編のビデオは)
う ーーーん、一体何が原因なのか、いまだに分からないままだが、とにかく、まだ色々やらなければなら ないことが結構あり、そして上映会をしてみないとわからないことも沢山あると言うことだ。 アウトシンク発生に関して、何か思い当たることのある方はぜひご一報を!
さてさて、気になる映画の反応だが、パーラメント・スクエアのメインメンバーはおおむね気に入って くれた。マリアは「パーラメント・スクエアがテーマの映画って、ずいぶんひどくなる危険性もあるん だけど、これは観れる映画だわ」と言っていた。ストーリーの展開の仕方とかも、良いとのこと。
しかし、厳しいコメントもあった。それはパレスチナ人の2人から。「自分にも前にインタビューした よね? なんでそのときの事を入れてくれなかったの? パレスチナの旗は映っていたけど、それだけ じゃ、パレスチナのことは伝わらないでしょう?」、「キャロリンやバニー(週に数回パーラメントス クエアに来るサポーター)に何十分も時間を割いて、どうして○○やXXは取り上げてないの? 彼ら は何年もブライアンを支えているサポーターだよ」、「顔面にタトゥーをいれている男性が映っている けど、彼は削ったほうがいい。ここの活動がヒッピーみたいと思われる」、「ブライアンのディスプレ イ(イラクの子供たちの写真)を説明して、イラク人のエピソードが入っているのに、パレスチナ人の エピソードが入ってない。これでは、ここの活動がイラク戦争だけを取り上げているように思われてし まう」などなど、書き出したらきりがないぐらい。
でも、私はこういう不満が出るのを承知で、自分の映画の構成を考えたのだ。メインのサポーターだけ を取り上げるのではなく、他の人も入れたのは、どんな生活をしながらでも、どんなレベルでも平和活 動が出来る、という例を示したかったのだ。ブライアンは、ある意味平和活動の最終形。誰もがこんな 風にやろうと思うわけはない。
そして、映画はある程度エンターテイメントなのだから、季節の移り変わりも入れるし、絵的に面白い と思うものも入れないと、見る側は退屈だ。そして、私がインタビュー(これはインタビュイーのプロ パガンダ)だけでなく、例えば食事風景やこれまでの人生のエピソードなども入れるのは、その人がど んな人なのか(どんな生活のレベルをしているのか、どんなことに価値観を見出しているのか)、どう いうきっかけで平和活動をするようになったのかということを、インタビューでの発言よりももっと客 観的に語ってくれると思うからだ。口では誰だって、偉そうなことを言える。何だって言える。でも家 の中の家具や過去の写真はウソをつけないのだから。
で、イラクを取り上げてパレスチナを取り上げないと言うことについては、私はイラクを取り上げるこ とで、そのほかの国で起きている問題を代表させたつもりだ。イラク戦争も、パレスチナの侵攻も、そ の基本となる考え方は同じである。人の命を奪うというのに、どこで起こっているのかの違いはない。
私は自分の97分の映画の中で、イラクとパレスチナを取り上げたとする。でも、そうしたら 、アフガニスタンは? ハイチは? コンゴは?・・・となるだろう? 全ての紛争を名指しで言うだ けで97分はゆうに過ぎてしまうかもしれない。
私は自分の映画の内容を彼らの要望によって変更することはしないが、彼らのフラストレーションはよ く分かる。彼らはまさに当事者なのだ。そして、マス・メディアがきちんと自分たちを報道してくれな いだけでなく、こんなちっぽけな自主制作の映画人でさえも、自分たちの国を無視するとは! という 気持ちなのかもしれない。
私が映画の中に込めたメッセージには、反戦と、そして「自分らしく生きる強さを!」という両方があ るので、政治を取り上げてはいるが、しかしこれは政治映画ではなく、ヒューマンドラマなのだ、と思 う。だから、アクティブに活動して、政治映画を期待してやってきた彼らをがっかりさせてしまったの かもしれない。もともと、アクティビスト向けに作ったものではないし、日本との温度差も考慮した上 での編集なので、これからアクティビストに見てもらうときは、事前に釘を刺したほうが良いかもね!
私は自主制作=お金は自分、でやっているからこれでいいんだけど、これが、もっと大掛かりなプロジ ェクトだったら、こうはいかないだろう。監督の方針に対して、プロデューサー、広報、スポンサー企 業などが、自分たちの思惑を作品に反映させようと、映画のストーリーの流れなんか全く無視した次元 で、色々言われるんだろうから。それを何とかなだめたり妥協したりしつつ、作品として完成させるな んてすごく大変そう!!!
以上、長くなりましたが、上映会報告まで。
| 固定リンク


コメント
祝!ワールドプレミア早く日本でもみたいです。ここまでたどり着けておめでとう!何か嬉しいよ。これからは作品がどう展開していくか、また楽しみです。
投稿: m5 | 2009年2月 2日 (月) 23時20分
おぉ~M5!!
コメントどうもありがとう!
まだ完璧なディスクが出来上がってないから、手放しでは喜べないんだけど、でもなんとかここまで来たよ!
上映会、ギャラリーマキさんのところ
でやってもらえるならやりたいです。(って、かなり具体的な名指しだ!!)
ではまた日本でね。
投稿: yumiko | 2009年2月 3日 (火) 06時31分